2011年3月30日水曜日

第31鉄 私のルーツをたどる旅――肉と桜と池上線

 筆者の誕生日はちょうど東京辺りで桜が咲く時期。満開の桜が誕生日を祝ってくれているようでうれしくなる。もちろん仕事なんかしている場合ではないのであって、電車で桜を愛でに行く。

【拡大画像や東急池上線沿線の紹介写真】

 今年は鉄道好きで肉好きな私のルーツ、池上線に乗ってみた。東急池上線は、山手線の五反田駅と京浜東北線
の蒲田駅を結ぶ。路線延長10.9km、都電荒川線より短いミニ路線で、全長18mの電車が3両編成で走る。小さな路線ながら、日蓮さんと桜の名所を2つ通っている。

 実は私、東京?五反田の関東逓信病院(現?NTT東日本関東病院)で生まれ、洗足池駅付近で8歳まで、その後は旗の台駅付近で高校卒業まで住んでいた。生まれてから思春期までを東急池上線沿線 Balenciaga
で育った。私の電車好きは東急池上線から始まっているし、肉好きに拍車をかけた店も池上線沿線。肉付きが良くなった理由も、歩かないで池上線で電車通学をしていたからである。今回はその経験を出し切って、オススメスポットを紹介しよう。

●蒲田といえば餃子? いいえ、南蛮カレーです。

 JR京浜東北線の蒲田駅。蒲田といえば最近は“羽つ
き餃子”の街として知名度を上げている。筆者のお薦めは「ニーハオ」と「歓迎(ホアンヨン)」の2店だが、池上線からはちょっと遠い。今回は地元の人なら誰もが知っている「南蛮カレー」で腹ごしらえしていこう。

 南蛮カレーは、蒲田駅西口のすぐ近くにある、街のどこにでもありそうなカレースタンドだ。私のオススメはカツカレー。カウンター席に マビノギ rmt
座ってキッチンを見ると、奥で大きな豚肉のかたまりを切り出し、揚げたてアツアツのトンカツをドン、と載せてくれる。カレールーも香ばしい。おなかいっぱいになったら、向かいの東急プラザ本館の2階へ行こう。そこに東急池上線と多摩川線のホームがある。

 東急蒲田駅は五反田方面へ行く池上線と、多摩川駅へ行く多摩川線が発着する。櫛形にホーム LV 財布
が並ぶ典型的な電鉄スタイル。ホームの先端に行くと、2つの複線が並び、たくさんのポイントが交錯する。多摩川線は3?4分間隔、池上線は3?6分間隔で走る。都内屈指の運行密度だ。どんどん電車がやってきて、ただ駅に立っているだけで飽きない。似たような銀色の車体でも、よく見ると形が違ったりする。その違いを見分けるところから、この沿線の「鉄っ子」は 信長 rmt
鍛えられていくわけだ。もっとも、筆者が子供の頃はイモムシみたいな緑色の電車だった。当時もやっぱり古い電車の寄せ集めで、戦前から生き残った車体まで走っていた。私も当時は3450形と3800形の違いを判別することで鍛えられたものだった。

 そんな池上線にもついに光が当てられて、2008年からは緑色の最新型「7000系」が走り始めた。幸運なこと
に今回最初に乗った電車は7000系。静かで、グングン加速していく。なんと軽快なことだろう。昔は“もわおわーん”とか大きな音を出していたよな。

●池上駅――伝説の格闘家の墓と「鉄道歌謡」の舞台

 蒲田から2つめの池上で降りる。沿線随一の桜の名所、池上本門寺へ歩いてみた。境内には無数の桜の木。ここは公園とは違い、宴会が許されていな
いので、散歩しながらゆったりと桜を楽しめる。桜祭りの日には、五重塔が特別に開帳され、ありがたいお話も聴ける。池上本門寺は日蓮宗の大本山で、日蓮が最後に過ごしたという由緒あるお寺だ。そもそも池上線は本門寺の参詣輸送のために敷設された路線。格闘技ファンには力道山の墓所としても有名だ……というわけで、桜のトンネルをくぐり抜け、五重塔を通っ
て力道山さんに会いにいく。

 カツカレーを食べてから2駅だけど、広い境内を散歩したら小腹が空いた。門前町を通って池上駅に戻ろう。食べ物屋さんがいろいろあって、特にこの界隈はくず餅が有名だ。しかしこのコラムは肉がテーマ(違う)であるからして、池上線にちなんだ肉料理をいただこう。さぁ、こちらへ。ケンタッキーフライドチキン池上店だ
。ちょうど今は、新食感のパリパリ旨味チキンを展開中。食べたかったんだよなー、これ。

 「何ぃ、全国展開のフランチャイズ店だと?」……あ、怒らないで。このお店は池上線ファンとしては絶対に外せないお店なのだ。その理由は1976年に西島三重子さんが歌った歌謡曲『池上線』にある。歌詞の2番に登場する“角のフルーツショップ”が実はここ。今はケン
タッキーフライドチキン池上店になっている。そんな名所なのに、店内にはそれを示すものがない。寂しい。サンダースおじさんもいない。

 ちなみに、歌謡曲『池上線』は全国的にヒットしたものの、翌年にビッグヒットした鉄道歌謡『あずさ2号』に隠れていたと記憶している。しかし、1980年代にコミックソング『目蒲線物語』がヒットすると、その対比
的に紹介されるなど、息の長い人気曲になった。

 池上線に揺られて3つめの駅、御嶽山で降りる。改札を出る前にホームで過ごす。ここは鉄道ファンにおすすめのスポット。新幹線と新横須賀線の真上にホームがある。フェンスの網目が細かくてちょっと残念だけど、ケータイカメラで新幹線を撮れる場所だ。もう1つの鉄道スポットへ行くために、御嶽山駅
で改札を出て、隣の雪が谷大塚駅まで歩く。両駅間はたったの800m、徒歩10分くらいだ。お目当ては池上線の車両基地。ところが高い壁があって、様子が見えない。残念。

●洗足池で足を洗った人は誰?

 雪が谷大塚から電車に乗って1駅、石川台で降りる。ここの線路沿いの坂道も池上線の桜の名所。線路は切り通しになり、線路をまたぐ橋がある
。かつてはその向こうにも桜の木があったが、橋の架け替えの時に伐採されてしまった。この伐採された方の木が、私が物心ついて初めて見た桜であった。

 そのまま線路沿いの坂を下りていくと洗足池駅だ。その道の途中に、私が育ったアパートがあった。線路のそばには土手があって、そこに座って桜と電車を眺めたものだった。そこもいまは崩されてマ
ンションが建っている。

 洗足池駅の向かいに、駅名の由来となった洗足池がある。この辺り、地名は千束で池の名は洗足。もともとの名は“千束池”で、日蓮さんが旅の途中で足を洗った故事にちなんで洗足池に改められた。湖畔には日蓮さんが袈裟を掛けた松も残っている。ここも本門寺同様に桜の名所で、公園の空を桜の花が埋め尽くす。こちらは町内会が
仕切る縁日が出て、宴会も可能。満開の休日は地面がブルーシートの海になる。

●勝海舟夫妻の墓

 龍馬ブームの昨今だが、この洗足池の畔に勝海舟夫妻の墓がある。勝海舟晩年の家がこの近くにあったそうで、西郷隆盛も訪れたという。墓石のそばにある西郷隆盛留魂碑は、西郷の死を悼んで勝自身が建てたとのこと。幕末史好きなら訪れておきた
いところ。公園はお花見で賑やかだが、ここはちょっと静か。勝先生も和んでおられるだろう。

 洗足池駅から五反田を目指す。隣の長原駅は地下駅。線路は平坦だけど、かつては上り坂で、環状7号線の踏切があった。それを解消するために切り通しで立体交差にした。次の旗の台駅の先、荏原中延駅も地下駅。こちらは踏切を解消するために線路を潜らせた
。池上線の電車の正面に扉がある理由は、これらの地下区間でトラブルがあったときに、非常口が必要だからだろう。

 荏原中延の次は戸越銀座。日本中あちこちにある「○○銀座」発祥の地で、商店街が賑わっているとしてメディアにもよく登場する場所だ。ここもゆっくり散歩したい街の1つ。3つめの地下区間、ちょうど国道1号線を潜り抜けたところには
、かつて「桐ヶ谷」という駅があった。線路脇の土手に痕跡があるらしいが、電車の中からは判別しにくい。わざわざ見に行くほどでもないけれど、戸越銀座を散歩するなら立ち寄ってみたい。

 電車は築堤を通って大崎広小路へ。そういえば築堤という工法も昭和の遺産のようなものだ。いまなら盛り土などせずに、コンクリートの杭を打って高架にするだ
ろう。でも築堤のおかげで列車の通過音が静かになる。池上線沿線は住宅地として人気だが、その理由の1つは「線路のそばでも意外と静かだから」かもしれない。

 大崎広小路駅は高架駅。山手通りに面した改札口までは細い階段で通じている。ここから終点の五反田駅まではたったの300m。東海道新幹線1編成より短い。そしてここも珍しい鉄道スポット。2
つの駅の間に片渡り線が2つある。終着駅手前の分岐器は、「|×|」形の両渡り線タイプが多いけれど、五反田駅は「|\|」と「|/|」の片渡り連続となっている。両駅間の微妙なカーブに合わせているらしい。線路好きにオススメだ。

●シメは五反田のメンチカツ

 五反田駅に到着し、池上線を乗り通したら――小腹が空くはず。空くんだ! 洗足池だって
歩いたし! というわけで、ここでのオススメはハンバーガー……いや失礼。五反田には確かにおいしいハンバーガーショップや黒毛和牛ステーキで人気の店もあるけれど、最後に紹介する肉はメンチカツ。目黒川の橋のそばにある洋食店「スワチカ」に行こう。揚げたてのメンチカツを箸で割ると、肉汁がジュワッと流れ出す。これで白いご飯をかっ込んで、豚汁で飲み下
す。皿に残った肉汁は千切りキャベツに絡めていただく。……肉好きには至福のひとときだ。

 今回は私のルーツを辿るたびにお付き合いいただき感謝。毎回、連載の最初に掲載しているGoogle Mapの沿線説明も、いつになく項目が多くなってしまった。ちなみに、大井町線と交差する旗の台駅のそばにもオススメの鳥料理屋「鳥樹」があるけれど、これはまた別
の機会にしよう。【杉山淳一】

<今回の電車賃>
東急池上線:蒲田 → 池上 120円/池上 → 御嶽山 120円/雪が谷大塚 → 石川台 120円/洗足池 → 五反田 150円

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引用元:フリフオンライン(Flyff) 専門情報サイト

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